倉本英雄前名誉会長が永年にわたり心を込めて執筆した著書より抜粋しお届けします。
会長補佐倉本久美子
天の橋立で、おなじみの天地がひっくり返る股のぞき』を 楽しみました。天に登る松並木 の橋をうっとり見とれていると、急に周りがパッと明るく・・・。 なんと、鮮やかな七色の虹の大橋が燃え立つように大空に現れたのです。美しい天女が、二重橋までつくっての歓待です!
まぶたに焼きついたこの感動の光景を思い出すたびに、楽しかった旅が再現され、至福感に満たされます。記憶の倉庫には心の資材置き場があり、ここから材料を選び心の組み立てが始まります。この置き場は上下二段に分かれ、過去に集めた品々でいっぱいです。
上段には喜び、称賛、親愛、感動、成功・・・などのブラス資材が、下段には悲哀、屈辱、後悔、 嫉妬、憎悪・・・などのマイナス資材がぎっしり。そのため、上段の輝く喜びの時の資材だけを多用する人は、ますます幸せになり、下段の陰うつな材料を好む人は、だんだん不幸に近づくばかり。
「類は友を呼ぶ」の法則で「喜べば喜びが喜びながら喜びごとを集めて喜びにくる。悲しめば悲しみが悲しみながら悲しみごとを集めて悲しみにくる」のですから。 評論家の小林秀雄氏も「人は、その人の性格に合った運命に出合う」と述べています。
プラス資材を使う人は性格も明るくなり、明るい運命が開けてゆくでしょう。この心の資材置き場の材料は、不思議なことに使っても減らないどころか、使えば使うほど、ますます増え続けるのです。なのに、なんと多くの人々が自分の出合った不幸を不愉快を、憎しみを、恨みなどのマイナス資材を多用していることでしょう。これらは、資材というより有害な産業廃棄物のように危険なもの。執着しないので心の外に捨てましょう。増やすのは、ブラスの資材 のみにしたいものです。
作家の五木寛之さんは「喜びを思い出 として、たくさんためこんでいる人は幸せです。くり返し思い出しても、すり減るどころか、 歳月と共に、ますます輝きが感じられるようになるに違いない」と述べています。
「心と脳を元気にする10の法則」より 倉本英雄著